騎士が馬の向きを変え
「騎士団が一員なれば、館に足踏み入るるに障りなし。よくこそ来たれ、サー・スパーホーク。願わくは館が壁の内、屋根が下にて平安ぞ見出さるべし」
「さればこなたとこなたがご同輩の、いずくに赴くも平安ぞあらむことを」スパーホークがそう答えて、儀式は終わった歐亞美創醫學集團。
「おかえり、スパーホーク」最初の騎士が温かく言った。「長い旅だったな」
「まったくだ」スパーホークが答える。「クリクは来たか」
二番めの騎士がうなずいた。
「一時間かそこら前だ。ヴァニオンと話をして、また出ていった」
「とにかく中に入ろう」スパーホークが促す。「さっきの文句じゃないが、『平安』がたっぷりと必要なんでね。ヴァニオンにも会わなくちゃならんし實德金融炒金」
二人の、三人はいっしょに橋を渡りはじめた。
「セフレーニアはまだここに?」スパーホークが尋ねる。
「ああ」二番めの騎士が答えた。「女王が病に倒れられたあと、ヴァニオンといっしょにデモスから飛んできたよ。それ以来、騎士館にこもりきりだ」
「よかった。セフレーニアにも話があるんだ」
三人は城門の前で足を止めた。最初の騎士が、門の前に残っていた二人の仲間に呼びかける。
「こは騎士団が一員、サー・スパーホーク。われらにて身元|諾《うべな》いし者にて、パンディオン騎士館に足踏み入るるに障りなし外幣兌換」
「さればお通りあれ、サー・スパーホーク。館が内にこなたの平安ぞあらむことを」
「かたじけない。騎士殿にも平安を」
騎士たちが馬を脇に寄せると、ファランは合図も待たずに進みはじめた。
「儀式についてはおれと同じくらい詳しいってわけか」スパーホークがつぶやく。
ファランはぴくりと耳を動かした。
中庭に入ると、まだ儀礼用の甲冑や拍車を与えられていない見習い騎士が飛び出してきてファランの手綱を握った。
「ようこそ、騎士殿」
スパーホークは盾を鞍頭《くらがしら》にひっかけると、具足を鳴らしてファランの背から下りた。「ありがとう。どこへ行けばヴァニオン卿《きょう》に会えるかわかるかね」
「南の塔にいらっしゃると思います」
「そうか、ありがとう」スパーホークは中庭を歩きだし、ふと足を止めて振り向いた。「そうそう、その馬には注意しろよ。噛《か》みつくんだ」
見習い騎士はぎょっとした顔になって、陰険な顔つきの大きな葦毛《あしげ》からそろそろと離れた。それでも手綱だけは放さない。
馬が冷たい目でスパーホークを睨《にら》んだ。